【六文焼】年に一度の火入れを見せていただきました
浜益在住の陶芸家・左門さんのつくる「六文焼」。
年に数回、札幌市内や石狩市内で個展が開かれています。目にしたことがある方もいるのでは?
先日、その六文焼の火入れをしていると聞いて、初めてその様子を見せてもらいました。
重厚な雰囲気のある六文焼。これは釉薬を使っているわけではありません。元々白っぽいものが、焼いている中で自然とこうなっていくんだそうです。
六文焼は、作品を作り溜め、年に一度だけ窯に火を入れます。
なぜそんなに少ないのか?それは火入れの工程に秘密が。
なんと六文焼は一週間程度、窯の火を絶やさずに焼き続けるのです。朝昼晩、片時も火をなくしてはならないので、とても一人ではできない作業です。そのため、お弟子さんや友人たちが集まりみんなで交代しながら窯の火を守ります。
前半は窯の温度もそれほどではないそうですが、後半になると千℃以上の熱さを保つため、窯の横からも薪をくべるのだそう。そのたび熱風が襲いかかり、汗だくの作業となります。
作業の大変さはもちろん、お手伝いしてくれる人たちを受け入れるための準備もありますから、左門さんの奥様がお元気でいたときは年二回行っていたそうですが、今は年一回だけとのこと。しかも昨年はコロナで助っ人が呼べず、火入れをしていないので実に二年ぶりの貴重な瞬間です!
話には聞いていた「火入れ」ですが、実際の窯を見たのは初めてで、そのつくり・大きさにまず驚きました。
特別に見せてあげる、と、窯の中まで見せてくれた左門さん!今回は約200点の作品を焼いているとのこと。
この日はまだ窯の温度低め。これがさらに高温になると、煙突には火柱があがり、窯の中は作品が見えないほどの炎になるんですって!
「この火は神聖なものなんだよ」と左門さん。「タバコの吸い殻やティッシュは入れちゃダメなの」と教えてくれました。火入れの前には神社などにお参りもするそうです。窯の上にもお神酒らしきものが置いてありました。でも、窯の横にある階段を歩きながら「ここにサツマイモ置いておくと美味しく焼けるんだよ」えっ、食べ物はいいんですか?!「窯の側面ならOK」…お茶目な一面もあり、とにかくお話が面白いんですよ。
こんなにも時間と手間をかけて作られるのに、作品はすべてが思い通りに焼きあがるわけでなく、ときには割れたり欠けたりしてしまうものもあるそうで。工房のまわりにはそうした「わけあり」作品が無造作に置かれていました。わけありもまた、味があってステキ。
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